燕は戻ってこない

NHK『燕は戻ってこない』を見てます。

子どもを授れない夫婦、マザコン気質の夫で元トップバレエダンサーの基、人気イラストレーターの妻の悠子、孫が欲しい基の母親の千味子、派遣で安い給料で働き、金の為に自分の子宮を差し出す女性の理紀。悠子の友だちの春画の画家のりりこが理紀を雇います。

代理出産という重いテーマで、原作は桐野夏生さんです。

登場人物が自分勝手過ぎて、途中で見るのを止めようと思いましたが、何故か見てしまいます。

人間の欲とエゴがあからさまに描かれてて、これが現実でもあり得るかもしれない、と思ってしまう自分がいます。

稲垣吾郎さん演じる基は、こんな夫がいるのか?と思うほど、自分の子ども欲しさに妻に相談せず代理母に申し込みます。理紀の秘密を知ってしまった後の演技は自分の子どもではないかもしれないという苦悩をうまく演じてます。胎内の赤ちゃんの動画を見て、産んでもらおうと決意する演技が流石だと感心しました。ダメ夫でも稲垣さんだから許せてしまうのかもしれません。

内田有紀さん演じる悠子は、社会的に成功してても、不妊治療で子どもを授かれない女性です。内田有紀さんも苦悩する妻を上手く演じてます。

石橋静河さん演じる理紀は、地方から出てきて日々の生活にも余裕がなくお金欲しさに代理母を引き受けます。人工授精の前に二人の男性と関係をもってしまい、誰の子どもか分からない双子を妊娠します。これまたどうしようもない代理母を演じる石橋静河さんの演技に引き込まれます。

黒木瞳さん演じる千味子は、孫がほしくて仕方ありません。代理母にかかる費用を負担します。つわりで苦しむ理紀を尋ねて、世話を焼きます。が、理紀にはよい感情を抱いてません。努力して自分の地位を掴み取った母を黒木瞳さんがベテランの味で演じてます。

中村優子さんは春画を描く画家りりこを演じてます。理紀の生き方に興味を持ち自分の助手として雇用します。りりこさんのあっけらかんとした人物像が救いです。

登場人物がリアルすぎて引き込まれます。

最終回がどうなるか、ハラハラドキドキです。日本でも代理母が普通に存在するような世の中になるのでしょうか?今の少子化傾向を考えるとそれもあり得るのかもと思ってしまいます。法律的にも母親としての感情的にも倫理的にも、現実は厳しいでしょう。

 

原作は映像化されたものと違い、また別の捉え方になるかもしれません。読んでみたいです。